子・孫への非課税制度を利用した支援(第1回 教育費用の援助)

 二人以上の世帯について世帯主の年齢階級別に1世帯当たり貯蓄現在高をみると,40歳未満の 世帯が608万円となっているのに対し,60歳以上の各年齢階級では2000万円を超える貯蓄現在高と なっており,年齢階級が高くなるに従って貯蓄現在高が多い傾向にある。

 総務省家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成27年(2015年)平均結果速報によると、40歳代の貯蓄現在高は1,042万円、50歳代が1,751万円に対して、60歳代の貯蓄高は、2,402万円、70歳以上では、2,389万円となっている。

 このように、高額の高齢者の貯蓄を若い世代に活用してもらうために、「子や孫に非課税制度を利用した支援」のいくつかを紹介します。

総務省家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成27年(2015年)平均結果速報
総務省家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成27年(2015年)平均結果速報

 第1回は、教育費用の援助(直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税)について解説します。

1.教育費用援助のポイント

(1)祖父母(贈与者)は、子・孫(受贈者)名義の金融機関の口座等に、教育資金を一括して拠出。この資金について、子・孫ごとに1,500 万円までを非課税とする。

(2)贈与する孫の数に制限はない。孫4人の場合は、6,000万円が非課税。

(3)教育資金の使途は、金融機関が領収書等をチェックし、書類を保管する。

(4)孫等が30 歳に達する日(誕生日の前日)に口座等は終了、残高には贈与税が課税。

(5)平成25 年4月1日から平成 30年12 月31 日までの措置(平成27年から延長)である。

2.教育費用援助の方法

 高齢者世代の保有する資産の若い世代への移転を促進することにより、子どもの教育資金の早期確保を進め、多様で層の厚い人材育成に資するとともに教育費の確保に苦心する子育て世代を支援し、経済活性化に寄与することを期待するものです。

 平成 25 年4月1日から平成 31 年3月 31 日までの間に、教育資金に充てるため、

①その直系尊属と信託会社との間の教育資金管理契約に基づき信託の受益権を取得した場合

②その直系尊属からの書面による贈与により取得した金銭を教育資金管理契約に基づき銀行等の営業所等において預金若しくは貯金として預入をした場合

③教育資金管理契約に基づきその直系尊属からの書面による贈与により取得した金銭等で証券会社の営業所等において有価証券を購入した場合

 

については、その信託受益権、金銭又は金銭等の価額のうち 1,500 万円までの金額に相当する部分の価額については、贈与税の課税価格に算入されません。

3.教育資金の範囲

(1)支払先による分類

 ①学校等への直接支払いの場合 1500万円まで

 ②学校以外(指導者)への支払いの場合 500万円まで

 ③学校以外で学生等の大部分が支払うべき業者等への支払い 500万円まで

 ④学校以外で個人的に選んだ業者等への支払い 対象外

(2)学費関係

 ①受験料、入園料、入学金、保育料、授業料、施設設備費、在学証明・成績証明その他学生等の記録に係る手数料及びこれに類する手数料、指導が行われる通信教育費、保育所一次預かり費用 対象

 ②入学願書費用、大学生協の出資金 対象外

(3)学費に付随する費用

 ①ランドセル、通学かばん、教科書、制服、上履き、体操服、その他の学用品の購入代金、健康診断、部活動費、給食費、スクールバス代、遠足費、修学旅行費、生徒会費、PTA会費、学校等の寮費、卒業写真代・アルバム代、学校行事として行う卒業パーティ・謝恩会 対象

 ②通学定期代、留学渡航費、入学等に必要な転居の際の交通費 平成27年4月1日より 対象

③予防接種、留学費用の内、有効までの交通費・現地での滞在費、同窓会費、学校への寄付金、奨学金の返済、下宿代 対象外

(4)塾や習い事にかかる費用

 ①スポーツジムや音楽教室・その他教養の向上のための活動に係る指導料、指導者から購入したピアノや運動用品、合宿代、遠征費用、資格試験の受験料、大会の参加費、自動車学校の費用、免許の検定料、更新料 対象

 ②個人的に購入したピアノや運動用品、個人的にスポーツジムを利用した際の使用料、車の購入 対象外

(5)留学に対する詳細は、文部科学省のホームページをご覧ください。

http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2016/02/01/1337560_2_1.pdf

(参考資料)

1.幼稚園3歳から高等学校第3学年までの15年間の学習費総額

文部科学省 平成26年度「子供の学習費調査」
文部科学省 平成26年度「子供の学習費調査」

2.大学生の学費・生活費調査

3.大学生の収入調査

次回の子・孫への非課税制度を利用した支援は、子育て費用の支援をお送りします。

田坂康夫(社労士・CFP・1級DCプランナー)

 

以 上