雇用保険法等の一部改正によりいろいろ変わります(第2回)

 ことしの3月29日に成立しました『雇用保険法等の一部を改正する法律』によって、保険料率の改定、育児・介護休業の制度改善、高齢者への雇用保険の適用拡大などにより、労働者の離職の防止や再就職の促進、高齢者雇用の一層の推進が図られます。

 改正内容が多岐にわたるため、第2回は『高齢者の希望に応じた多様な就業機会の確保および就業環境の整備』について、解説していきます。

2.高齢者の希望に応じた多様な就業機会の確保および就業環境の整備

この改正は、雇用保険法、労働保険徴収法、高齢者雇用安定法に関係した項目です。

 

(1)雇用保険の適用拡大

  現状65歳以上の雇用者数は、平成26年で320万人(平成14年153万  人、2.09倍)、65歳以上の新規求職申込件数は平成26年で431,023 件(平成2年84,204件、5.12倍)となっています。

  生涯現役社会の実現の観点から、雇用者数、求職者数が増加傾向にある65歳以 上の高年齢者の雇用が一層推進されるよう、雇用保険の適用拡大がはかられまし  た。

 ①現行は、65歳以降に雇用されたものは雇用保険が適用されません。また、同一 の事業主の適用事業に65以前から引き続いて雇用されている高年齢継続被保険者 のみが適用となり、離職して求職活動をする場合は高年齢求職者給付金が賃金の  50~80%の最大50日分が一度だけ支給されます。

  平成29年1月1日から施行される改正法では、65歳以降に雇用された者につ いても、雇用保険を適用し、離職して求職活動をする場合は、その都度、高年齢求 職者給付金か支給されることになります。さらに、介護休業給付、教育訓練給付等 についても、新たに65歳以上の者も対象となります。

  また、現行65歳以上の者の雇用保険料の徴収は免除となっていますが、平成  31年度分までの経過措置を設けたうえで、徴収免除を廃止して原則どおり雇用保 険料が徴収されることになります。事業主には高齢者を一定割合以上雇用した場合 は、助成措置等が導入されます。

 

(2)シルバー人材センターの業務の拡大

  平成28年4月1日から、地域の実情に合わせて、高齢者のニーズを踏まえた多 様な従業機会を確保する観点からシルバー人材センターの業務が拡大されました。

  現行は、概ね10日程度間の臨時的・短期的業務または概ね週20時間程度まで の軽易な業務に限定されています。

 ①改正法では、シルバー人材センターの業務の内、派遣・職業紹介に限り、週40 時間までの就業が可能となります。

 ②要件緩和により、民業圧迫等が起きないよう次の仕組みを設けることとなりまし た。

  1.要件緩和に当たっては、都道府県知事が、高年齢退職者の就業機会の確保に寄 与することが見込まれ、厚生労働省が定める基準に適合すると認められる場合に、 対象となる市町村ごとに業種・職種を指定することができることになりました。

  厚生労働省が定める基準

  A.指定しようとしている業種・職種について労働者派遣事業、職業紹介事業等の  事業者の利益を不当に害することがないと認められること。

  B.他の労働者の雇用機会や労働条件に著しい影響がないと認められること。

 ③要件緩和を実施する業種等を指定する場合は、予め地域の関係者の意見を聴取す るとともに、厚生労働大臣に協議すること、また、要件緩和に係る指定が厚生労働 省が定める基準に適合しなくなったときは、指定を取り消すことが定められまし  た。

  地域の関係者とは、

  A.市町村長

  B.シルバー人材センター等

  C.指定しようとする業種・職種について労働者派遣事業、職業紹介事業等を行う   事業者を代表する者

  D.当該市町村の労働者を代表する者

以  上