1.住宅取得資金の援助
平成27年1月1日から平成31年6月30日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその住宅取得等資金を自己の居住の用に供する家屋の新築若しくは取得又はその増改築等の対価に充てて新築若しくは取得又は増改築等をし、その家屋を同日までに自己の居住の用に供したとき又は同日後遅滞なく自己の居住の用に供することが確実であると見込まれるときには、住宅取得等資金のうち一定金額について贈与税が非課税となる制度です(以下、「非課税の特例」といいます。)。
1.受贈者の要件
次の要件の全てを満たす受贈者が非課税の特例の対象となります。
(1) 次のいずれかに該当する者であること。
イ 贈与を受けた時に日本国内に住所を有すること。
ロ 贈与を受けた時に日本国内に住所を有しないものの日本国籍を有し、かつ、 受贈者又は贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあ ること。
ハ 贈与を受けた時に日本国内に住所も日本国籍も有しないが、贈与者が日本国 内に住所を有している。
(2) 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であること。
なお、直系卑属とは子や孫などのことですが、子や孫などの配偶者は含まれませ ん。
(3) 贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であること。
(4) 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であること。
2.居住用の家屋及びその増改築等の要件
(1) 居住用の家屋の要件
居住用の家屋とは、次の要件を満たす日本国内にある家屋をいいます。
なお、居住の用に供する家屋が二つ以上ある場合には、贈与を受けた者が主として居住の用に供すると認められる一つの家屋に限ります。
イ 家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面 積)が50平方メートル以上240平方メートル以下であること。
ロ 購入する家屋が中古の場合は、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
(イ) 耐火建築物である家屋の場合は、その家屋の取得の日以前25年以内に建 築されたものであること。
(ロ) 耐火建築物以外の家屋の場合は、その家屋の取得の日以前20年以内に建 築されたものであること。
(ハ) 地震に対する安全性に係る基準に適合するものとして、一定の「耐震基 準適合証明書」、「住宅性能評価書の写し」又は既存住宅売買瑕疵担保 責任保険契約が締結されていることを証する書類により証明されたもの であること。
(ニ) (イ)から(ハ)のいずれにも該当しない家屋の場合で、その家屋の取得の日 までに同日以降に耐震改修工事を行うことについて所定の手続きをし、 かつ、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その耐震改修によりその 住宅用の家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき、一定の書 類で証明されたものであること
ハ 床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるものであるこ と。
(2) 増改築等の要件
特例の対象となる増改築等とは、贈与を受けた者が日本国内に所有する自己の居住の用に供している家屋について行われる増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替その他の工事のうち一定のもので次の要件を満たすものをいいます。
イ 増改築等の工事に要した費用が100万円以上であること。なお居住用部分の工 事費が全体の工事費の2分の1以上でなければなりません。
ロ 増改築等後の家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供さ れること。
ハ 増改築等後の家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する 部分の床面積)が50平方メートル以上240平方メートル以下であること。
ニ 増改築等に係る工事が、一定の工事に該当することについて、「確認済証の写 し」、「検査済証の写し」又は「増改築等工事証明書」などの書類により証明 されたものであること。
3.非課税限度額
4.非課税の特例の適用を受けるための手続
非課税の特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、非課税の特例の適用を受ける旨を記載した贈与税の申告書に計算明細書、戸籍の謄本、登記事項証明書、新築や取得の契約書の写しなど一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出する必要があります。
以 上
田坂康夫(社労士・CFP・1級DCプランナー)