サラリーマンの夫を亡くしたときの年金受給額は?

一家の大黒柱の突然の死。家族の状況によって年金や受給額が違ってくるのでしょうか?

ケース1

夫30歳は事故による死亡です。結婚して3年目、子供はいません。28歳の妻が受け取れる年金は?

 

 このケースでは子供がいませんので、妻は遺族基礎年金を受給できず遺族厚生年金のみが支給されることになります。

 ただ夫の厚生年金保険の被保険者期間が8年と短く、遺族厚生年金の受給額は小額になってしまいます。そのため遺族厚生年金では、受給額がまとまった額になるよう「短期要件」と呼ばれる支給要件によって額が決定されます。これは、死亡した厚生年金保険の被保険者(サラリーマン)の年金加入期間がケースの方のように8年という短期であっても、300月(25年)分の保険料を支払ったものとして遺族厚生年金の額を計算するというものです。

 いわば救済制度のある遺族厚生年金ですが、これも、受給権者である妻が死亡したり、再婚したりした場合には失権します。また、30歳未満で子供のいない妻の場合は5年の有期となり、このケースの妻の場合は33歳で失権することになります。ご注意ください(図1)。

ケース2

夫35歳で死亡。結婚が早かったので子供は9歳。妻32歳が受け取れる年金は?

 

 このケースでは9歳の子供がいますので「子のある妻」となり、遺族基礎年金が支給されます

 遺族厚生年金についてはケース1と同様「短期要件」に該当しますので、被保険者期間300月として支給額が計算されます。

 子供が18歳年度末(高校卒業時)に到達すると、遺族基礎年金は失権します。しかし、この失権時に妻は41歳となっていますので中高齢寡婦加算が支給されます。妻自身の老齢基礎年金が支給開始される65歳になるまでの期間です。

 この中高齢寡婦加算とは、妻が40歳以上65歳未満で、遺族基礎年金がもらえない期間に、遺族基礎年金の額の4分の3の額が遺族厚生年金に加算して支給される仕組みです(図2)。

ケース3

夫が58歳で突然死。子供は大学4年生。妻55歳が受け取れる年金は?

 

 このケースでは子供はいても、すでに18歳年度末を過ぎていますので「子のある妻」には該当せず、遺族基礎年金は支給されません

 夫は22歳から58歳までの間、厚生年金保険の被保険者であり、加入期間が25年を超え長期要件に該当していますので、その被保険者期間に基づいて遺族厚生年金の額が計算されます。

 夫が死亡したとき妻は55歳で、40歳から65歳までの「子のない妻」に該当します。従って、妻自身の老齢基礎年金が支給開始される65歳まで、ケース2と同様に中高齢寡婦加算が支給されます (図3)。

ケース番外編

現役社員の夫。定年近くに再婚した外国人の妻は25歳、子供は1歳。万が一、夫が死亡した場合妻が受け取れる年金は?

 

 このケースは、会社が60歳定年時に行っている老後の年金セミナーの際に相談を受けたそうです。

 仮にAさんとします。Aさんは健康でまだ働いていますが、定年後は老後を海外で送りたいとの夢を持っていました。ところが、一緒に行くはずだった妻と計画中に死別。一人暮らしは寂しいと思いはじめた55歳ころからAさんは婚活をし、若きアジア系外国人とめでたくゴールイン。まもなく男の子に恵まれました。定年後は、物価の安い妻の国に住宅を求め、年金生活を考えています。

 さて、その年金ですが、Aさんが存命中は、ご本人の老齢基礎年金と老齢厚生年金が終身で受け取れます。Aさんによればその年金額で、妻の国では親子3人がごく普通の生活が可能で、そのうえ妻の両親にも多少の援助ができるそうです。また万が一、Aさんが死亡した場合には、子供が18歳年度末になるまで遺族基礎年金が支給され、その後は妻が終身、遺族厚生年金を受け取ることができます。

 Aさんと結婚した外国人妻は若くして年金暮らしとなり、それも一生続くというわけです(図4)。